日本人により設計されたラトビアの追悼施設「運命の庭園」を訪れました。

令和3年5月15日
 川口大使は、5月1日、ラトビアの独立回復記念日にあたる5月4日を前に、Kokneseにある「運命の庭園」(Garden of Destiny)を訪問しました。これは、20世紀の2つの世界大戦と全体主義体制の犠牲になったラトビアの人々を追悼する施設として2006年からKoknese Foundationにより進められているプロジェクトです。

 2005年、国際コンペにより、応募207点の中から、日本人の庭園デザイナーであり、曹洞宗徳雄山建功寺の住職でもある、枡野俊明さんの設計が採用され、以来、少しずつ工事が進められているものです。枡野さんは、設計を練る際に、ラトビアにおいて、自然のものに神を感じるという、日本に近い多神教の歴史があったことを考慮し、太陽や方角、湖面や石といった自然を意識し空間を設計したと述べています。日本人の「自然」観を再現した庭園がラトビアの重要施設となっていることが実感され、大変感慨深いものがあります。「日本ラトビア友好100周年」にふさわしい有意義な訪問となりました。

 首都リガから東へ100キロメートルほどのKoknese郊外のダウガヴァ川沿いに浮かぶ島に橋をかけて設計され、Kokneseの城跡が展望できるほか、中心には半円形の集会場、周囲に回遊路、丘などが設けられています。100年前のラトビア独立と日露戦争との関係について触れたパネルも設置され、独立100周年の2018年には、この公園を記念する5ユーロ硬貨も発行されました。2020年には、独立回復30周年を記念した記念碑が設置されました(下記写真参照)。

 当日は、快晴に恵まれ、家族連れでにぎわっていましたが、コンサートなどの催しや時には、結婚式などにも利用されているとのことです。

 あわせて、「運命の庭園」ホームページをご覧ください。
https://www.liktendarzs.lv/apmeklet/liktendarzs/unikalais/



独立回復30周年を記念した記念碑に立つ川口大使
(向かって左側にラトビアが独立した1918年、右側に独立を回復した1990年の文字が刻まれています)



庭園入口にある庭園の案内標識。
世界的に著名な landscape artistである日本の枡野俊明さんが、このプロジェクトのauthorである
として紹介されています。



Koknese城跡をバックに、ラトビア国旗が掲揚されている集会場中央に立つ川口大使