ラトビア人にとっての「山」と自然

 1993年以降、70名以上のラトビアの若者が、日本政府(文部科学省)による奨学金を活用して日本に留学しています。

 先日、日本への留学経験者とのネットワーク作りの一環として、大使公邸で日本への留学経験者を招いた懇談会を開催しました。その際、日本留学中に印象的だったことについて質問したところ、ある元留学生から興味深い話を聞くことができました。

 その元留学生は、地方の大学で学びましたが、「山」がとても印象的な日本の景色として記憶に残っているそうです。日本の自然の美しさに感銘を受け、特に普段の生活の中で「山」が見えることが嬉しかったそうです。ラトビアは自然が豊かな国なので、印象的な景色といえば、高層ビルが建ち並ぶ東京の景観や雰囲気のある京都の町並みなど、一般的に外国人観光客に人気のあるスポットが挙げられるのかと思っていたので、意外な答えでした。

 しかし、よくよく考えてみると、納得できます。というのも、ラトビアは国土の98%が標高200m以下のほぼ平坦な地形であり、「山」自体がとても珍しいものなのです。首都リガの中心部にある展望スポットから周囲を見渡すと、山や丘はなく、どこまでも平らな地形が続いていることが分かります。ラトビアで一番標高の高い地点は、東部のヴィゼメ地方にあるガイジンシュ(Gaiziņš)という所で、標高わずか312mです。このような地形の国に生まれ育ったラトビア人にとって、1,000m超の山々は何よりも新鮮であったに違いありません。季節や時間に応じて山の表情が様々に変化することから、毎日見ることが楽しみで、見飽きることがなかったそうです。

 他にもたくさんの印象的な体験をしたり光景を目にしたことでしょうが、何よりも「山」に魅了されたと答える姿に、自然を身近な存在として敬うラトビア人の国民性を感じることができました。

 「山」の他にも、普段、あまり気にとめていないものの中に、意外と外国人を魅了しているものがたくさんあるのかもしれません。