音楽・文学・スポーツ・教育分野における功績者への在外公館長表彰

令和3年10月1日
 9月30日、大使公邸において、本年、「日本ラトビア友好100周年」を迎えたことを踏まえ、音楽・文学・スポーツ・教育分野における功績者3名及び団体1名への在外公館長表彰式を執り行いました。

表彰者の皆さまと川口大使
(フセヴォロッズ・ゼリョニス氏(左上)、マルティンシュ・ベルズィンシュ氏(右上)、
アイラ・ビルズィニャ女史(左下)、イングーナ・ベキェレ女史(右下))
 
 各分野の表彰者及び功績は以下のとおりです。
1.アイラ・ビルズィニャ女史(音楽)
ラトビアと日本の合唱団交流において重要な役割を担ってきたほか、音楽を通じた、二国間関係の強化及び対日理解促進に貢献されてきました。また、ビルズィニャ女史は、ラトビア名門女性合唱団である「ジンタルス(Dzintars)」とリガ大聖堂女性合唱団「ティアラ(Tiara)」の指揮者を務め、両合唱団はラトビアを訪れた日本の合唱団と交流しています。

2.イングーナ・ベキェレ女史(文学)
翻訳家として、三島由紀夫や村上春樹など、日本の著名な文学作品を日本語からラトビア語に翻訳し、当国における、日本文学の普及及び対日理解促進に貢献されてきました。ベキェレ女史が翻訳された作品は、三島由紀夫の「金閣寺」(Zelta templis)、村上春樹の「1Q84」(1Q84)や「海辺のカフカ」(Kafka liedaga)など、計10作品に及びます。

 
3.フセヴォロッズ・ゼリョニス氏(スポーツ)
 選手として、ラトビアでの柔道の普及に重要な役割を果たし、また、指導者として、積極的に柔道の普及に努めてこられました。ゼリョニス氏は、4つのオリンピックに出場し、シドニーオリンピックで、ラトビアの柔道選手として初めて銅メダルを獲得されました。指導者としては、2012年にスポーツスクールを設立し、ラトビアのみならず、近隣国などでも、柔道キャンプや柔道教室を開催し、柔道の普及に大きく貢献されています。

 
4.リガ文化学校(教育)
リガ文化学校は、2001年に設立され、ラトビアで日本語教育を提供している、唯一の初等・中等教育機関であり、子供たちに様々な文化や伝統、言語を教える教育活動を行ってきました。前身のJapanese Language and Culture Secondary Schoolの伝統を受け継ぎ、日本語教育を重視し、当地で開催される日本語弁論大会では、優秀な成績を収めた生徒を多数輩出しました。また、2018年からは、神戸龍谷高校との姉妹校交流も活発に行っています。(副校長のマルティンシュ・ベルズィンシュ氏、日本語教師の近藤春作氏が出席)

 
 こうした貢献を称え、当館は、在外公館長表彰状を授与することとし、表彰式では、川口大使からアイラ・ビルズィニャ女史、イングーナ・ベキェレ女史、フセヴォロッズ・ゼリョニス氏、リガ文化学校副校長のマルティンシュ・ベルズィンシュ氏へ、表彰状が授与されました。川口大使はスピーチの中で、今年、日本がラトビアを法律上の承認をしてから100周年にあたり、日・ラトビア関係が着実に友好関係を進展してきたことに触れつつ、両国間の交流・相互理解に貢献されてきた、表彰者の皆さまの活動に感謝の意を表するとともに今後の活動に期待する旨述べました。(大使スピーチの全文はこちら)。

 表彰者の皆さまからは、ご自身のこれまでの活動と経験を交えて、今回の在外公館長表彰に対する喜びが述べられました。また、ゼリョニス氏から川口大使へ、ラトビア柔道連盟からの記念プレートが贈られました。
 
 表彰式には、来賓として、レ・ガラ国会副議長、ザリンシュ文化省文化政策担当副次官、カトラカ文化省国際協力・欧州連合政策部長にご出席いただきました。
〇レ・ガラ国会副議長(副議長スピーチの全文はこちら)。
「私は、日本大使館が私の任期中に開始した全ての取り組みを全力で支援することで、ラトビアと日本の強い結びつきを発展させる機会を得られたことを大変光栄に思っています。日本とラトビアの友好の架け橋となるような特別な貢献をされてきたラトビアの優れた市民を顕彰するために尽力された大使に、心から感謝の意を表します。この表彰状は、皆さんの長年の努力を大使館によって評価され、両国の歴史にその名が刻まれたことを表しています。ラトビアと日本の外交関係回復30周年の機会に、ラトビアの優秀な市民を表彰し、祝福できることを嬉しく思います。」

レ・ガラ国会副議長によるスピーチ
 
〇ザリンシュ文化省文化政策担当副次官
「ラトビア文化省を代表して、川口大使、そして、素晴らしい表彰者の皆さまに感謝の意を表したいと思います。文化とスポーツは世界共通の言語であり、人と人、異なる文化、国と国とを結びつけるものです。」

ザリンシュ文化省文化政策担当副次官によるスピーチ
 
 また以下の方々からお祝いのメッセージをお寄せいただきました。一部を抜粋してご紹介します。
○トレイヤ=マスィー駐日ラトビア大使
「文化、教育、スポーツにおける実りある交流は、私たちの友情に欠かせないものであり、ラトビアと日本の協力関係を前進させるために不可欠なものです。ラトビアと日本の友好100周年を祝うにあたり、皆さんの模範と熱意が、ラトビアのより多くの人々に日本に関心を持って、知ってもらうとともに、より多くの日本人にラトビアを知ってもらうきっかけになることを願っています。」
○スタキス・リガ市議会議長
「リガ市議会は、ラトビアと日本の文化や知識の相互理解を促進するため、リガ文化学校と神戸の龍谷高校との学生交流も支援しています。ラトビアと日本の二国間関係の強化に貢献してくれたリガ文化高校に感謝します。また、翻訳者のイングーナ・ベキェレ女史、指揮者のアイラ・ビルズィニャ女史、柔道選手のフセヴォロッズ・ゼリョニス氏にも、日本文化の普及に重要な貢献をしていただきました。」
○レジーナ教育科学省次官
「本日、ラトビアにおける日本の伝統、文化、言語の普及に貢献されたリガ文化学校とフセヴォロッズ・ゼリョニス氏に日本から賞が授与されたことを誇りに思います。これまでの日本とラトビアの協力関係に多大な貢献をしてくださった皆様に、ラトビア教育科学省を代表して感謝の意を表したいと思います。」
○ヤンソンス外務省二国間局長
「ラトビア外務省を代表して,ラトビアと日本の友好関係の構築に向けた継続的な努力と献身に心から感謝いたします。日本におけるラトビア文化への関心が高まっていることや,ラトビアにおける日本文化への関心が高まっていることをうれしく思います。皆さんの熱心な活動は、日本とラトビアの地理的な距離を埋めるのに重要な役割を果たしています。」
〇カワール・モロッコ名誉総領事
「私たちは、ヨーロッパの優秀なアスリートであり、30年にわたり、柔道を通じて両国の文化の架け橋となったフセヴォロッズ・ゼリョニス氏を称えるために集まりました。柔道とは、日本語で「優しい道」を意味します。その哲学は、「最小の努力で最大の効率を」「すべての人に相互の福祉と利益を」を理念としています。ゼリョニス氏は、人生を通して、柔道を普及することに取り組んでいます。」
〇山下一夫・鳴門教育大学学長
「この度は,マルティンシュ・ベルズィンシュ様が副校長を務めるリガ文化学校が,「日ラトビア友好100周年」を記念した在外公館長表彰の栄誉に輝かれましたことを心よりお慶び申し上げます。本学では,これまでグローバル教員養成及び国際教育協力に力を
注いでまいりましたが,貴殿所属学校の朗報は,本学にとって誇らしいことであり,今後も益々のご活躍祈念しております。」
〇松原千振・日本ラトビア音楽協会会長
「日本ラトビア音楽協会ガイスマは、2018年7月ラトビア建国100周年「歌の祭典2018」に参加し、リガで大歓迎をうけました。これもアイラさんの努力のお蔭と感謝しております。特に、野外音楽劇場でのアイラさんの指揮は秀逸でした。再び、アイラさんの指揮で一緒に合唱できる機会が訪れることを期待しております。」
 
 在ラトビア日本国大使館は、皆さまの長年にわたる活動と日本及び当館の活動への支援に深く感謝するとともに、皆様のご協力を賜りながら、二国間の関係がさらに発展することを期待いたしております。
 

ラトビア柔道連盟から川口大使へ贈られた記念プレート
 

参加者による記念写真